石切場の姿

石切場(丁場)の姿

毎年、西日本の石丁場に行かせていただきます。
山を目の辺りにすると、いつも神聖で大きな意志を感じます。
そして一礼して山に登ると、そこには、色濃い山石屋の人たち。

産地では、職人は細かく専門があり、
山から石を切出す職人、
キズを見極め原石を切削する職人、
磨き職人、レンゲなど複雑な加工専門のやくもの職人。

それぞれの職人たちの厚い姿勢。
その意志を伝えようとする者たち。
石切場の山では、常に地下水・雨水そしてガスとも戦って
1つのお墓が生まれます。
ここでは、各丁場のおはなしです。

庵治石細目・大丁場

墓石の中でも、非常に硬く吸水率も低く、
めずらしい独特な斑文があり、
青御影石のなかでももっとも細目なのが、
庵治石の細目です。
採掘地は、香川県の庵治町・牟礼町です。
対岸の八島から見ると、
このような大きな半島の山です。

石切場(丁場)

(写真の上部の山で、中央の土色の部分が石切場(丁場)です。)

墓石材に使う庵治石の原石は
キズばかりです。
皆様も知っての通り、日本は地震国で、
日本の地盤は、キズだらけなのです。

まず東西に走る2番肌、
そして南北に走る重ね肌。
100個の原石を採掘しても、
製品になるのは3~5個。
30~40センチに1本程度のキズが入っており、
大きなものを取るのに非常に苦労します。
数値で表すと、採掘した3~5%しか
製品にならないということなのです。

石切場(丁場)
石切場(丁場)

そして、庵治石は、色調合わせが非常に難しい石です。
現在確認されている庵治石の色調は、450種類もあると言われ、
1つの原石のハシ端をとっても色調が合いません。

石工たちは、断言します。
「色調なんか合う訳がない!」と。

しかし、製品が出来上がると色調が合っているのです。
ゴマカシでも何でもなく、色調を合わせてくるのです。
さすが、日本の最高峰の庵治ブランドの職人たち。
それは、懸命の採掘権を投資し、
莫大な在庫量を懸命に、在庫してなせる必死の技なのです。
これほどの労力を必要としてまでも、魅せられてしまう石というのは他にないでしょう。

大島石・山西丁場

愛媛県の大島という島から
採掘されている大島。
そこには、約50近い丁場数があります。
毎年稼動しているのは、
約15ほどだそうです。
大島石といっても、1つではなく、
こんなに沢山あります!
色合いも青御影石の細目で、
関西では非常に多く使われています。

その中でも、山西という丁場があります。
この山西の大島は、
目が細目で色調も納得できる特級材です。
大島の丁場は、
小さな島の中にたくさんの丁場があり、
庵治石の大丁場や万成の丁場に比べると、
とても狭く危険に感じます。
ちなみに横方向の採掘したラインは、
1ライン4.5メートルだそうです。

石切場の高さは、
地上から50メートルぐらいでしょうか。
地下は、約20メートル採掘していたので、
総採掘の高さは、
70メートルといったところでしょう。

ここでは、石を焼き切るバーナーを
使っての採掘状況でした。
日本の大島ブランドの山石屋の小田さんと、
1ショット。

山に行くと、いつも想い知らされます。
けっして簡単で安全な状況で、
墓石は生まれて来ない。
意識の高い姿勢で向き合うからこそ、
ぼくたちは
この仕事をしていくことが出来る。
こういった現状を見て、
お客さまに伝えてこそ、
善いものが造れると。

大島石・山西丁場
大島石・山西丁場
大島石・山西丁場
大島石・山西丁場

万成石・万成丁場

万成石は、めずらしい桜色の御影石の玉石。
石原裕次郎さんのお墓にも、使われています。

また石にも、玉やスジ(木のような自然が創り出したフシのようなもの)が
多くあるのですが、この万成石だけは、ほんとに少なく、目合いも安定しています。
そして、日本ではめずらしく、巨大な大きさの原石を採ることができます。

石切場(丁場)とともに

ぼくたちは、目に見えない文化の仕事をさせて頂いています。
目に見えないからこそ、意識を高く持って接しないといけないと想っています。
山では、丁場で大自然に向き合う者達。
加工では、石の原点に向き合う者達。
お客さまに接する者は、たいせつな方を感じてあげる意識の者達。
墓石に向き合う者達は、見えないなにかを信じている気がします。
それは、お客さまも持っているから、墓石が必要なのだと想います。

30年以上、この仕事をさせて頂いていますが、
そこには、いつも大切ななにかを感じさせてくれたり、教えてくれたりします。
それは、便利とか見た目の綺麗とかじゃなくて、
『豊かさ』なのかも知れません。

お客さまにとって、大切な方だったんですから、
意識を持って造っていきたいと思っています。

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